小鳥たちの葛藤
4月に入ったある日の朝、起きるにはまだ早いと思って布団の中に潜っていたところ、「ホーホヶキョ」という啼声が聞こえてきました。耳を済ましてみると、それは確かにウグイスの声でした。ただ、残念なことに、その声は道路を一本隔てたご近所の方角から聞こえてきたのです。それでも、自宅でウグイスの声を聞くのは久しぶりなので感激しました。
ところが、ほんの1分もしないうちに、そのウグイスはわが家に庭に来て啼いているではありませんか。どの木に止まって啼いているのかは確認できませんでしたが、とにかくわが家を忘れずに来てくれたことが嬉しくて、ムサシにそのことを報告すると、ただ、ニヤリと笑っただけでした。たぶんそれは、「ボクが連れてきたんだよ!」とでも言いたかったのでしょう。
ただ、久しぶりのわが家のせいか、そのウグイスは少し落ち着きがないように感じられました。それもそのはず、最近わが家に入り浸っている大きい鳥が威嚇しいるようなのです。それでも、小さな梅の木に向かって、「春だよ、もう花を咲かせなさい!」と梅の木に呼びかけている健気な姿に敬意を表してか、無粋な大鳥も縄張りを明け渡す気になったようです。