佐藤農場の「梅園」
花見といえば桜ですが、平安時代以前の花見は梅の花でした。春を告げる花として親しまれている梅ですが、春が遅い東北地方では時として桜の時期と重なることもあります。例年ですとお彼岸のころから咲き始め、4月中旬には満開を迎える広大な梅園が大崎市岩出山にある佐藤農園の梅林で、20種類の梅が春の訪れを個性豊かな色彩で迎えてくれます。
1軒の農家が営むものとしては日本屈指の広さといわれ、花の見事さもさることながら、古木の枝ぶりにも味わい深いものがあります。戦後開拓で原野を切り開き梅の木を植えて半世紀になるといいますから、その歴史の重みが花の命を支えているようにも感じられ、「東風吹かば、匂いおこせよ梅の花...」と謳った古の歌人の心が偲ばれるような佇まいです。
経営者の佐藤宗一さんは、「美しい花を一人でも多くの人に見てもらいたいから。花を愛で、おいしい空気を吸ってリフレッシュして欲しい」と梅園の開放の理由について話しています。紅梅と白梅の織りなす美しさが、香り高いトンネルとなり、ここを通ると豊かな自然に囲まれてのんびりと育った梅林から、大きなエネルギーをもらった感じがします。