花の下で旅立ったあの日
一昨日の4月13日は、わが家のムサシが天国へ旅立ってからちょうど5年目にあたります。その年は例年よりもサクラの開花が早く、13日には確かほぼ満開に近かったように記憶しています。「ねがわくは 花の下にて 春死なん その望月の如月の頃」という西行の歌がありますが、わが家のムサシも、満開のサクラに囲まれながら静かに息を引き取りました。
西行が逝ったのは1190年如月(2月)の16日だそうですから、新暦でいうと4月の上旬ということになるのでしょう。ムサシが旅立った平成20年の4月13日は新月と満月のちょうど中間だったので、残念ながら「望月」ではありませんでしたが、「大往生だった」と心に言い聞かせたい私たち家族にとっては、この西行の歌がとても慰めになっています。
もちろん、当のムサシは8百年以上も前の歌人と張り合うなどということは夢にも思っていなかったでしょうが、あの年以降はサクラの開花が遅く、今年もまだやっと蕾が膨らみ始めた程度ですから、やはり特別な年だったのかもしれません。しかし、改めて考えてみるまでもなく、何時でも話ができる今のような状態は、あの時から始まっていたのです。