米川の水かぶり
毎年2月の初午の日、800年以上も前から伝わる火伏せ祈願の祭り「米川の水かぶり」が東和町米川地区で開催されます。この祭りは、厄年を迎えた人を中心に五日町地区の男性が参加して、かまどのススを顔に塗り、藁で作った水かぶり装束を身にまとい、大慈寺の境内にある秋葉権現で身を清め、勢いよく町に繰り出し火伏せを祈願する珍しいお祭りです。
お神酒を頂いて神の使いとなった男たちは、奇声を上げながら各家庭で用意した水を屋根に向かってバケツやオケでかけながら、町内を練り歩きます。そして、身につけたしめ縄は、その年の火難除けのお守りとされているため、地域の人たちはまとった装束からワラを抜き取り、屋根の上に投げ上げます。ただし、他の地区の人は参加できません。
国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの祭りには、地域の人はもちろん、毎年2千人以上の観光客が訪れます。ちなみに、何故他の地区の人が参加できないかというと、他の人が参加すると火災が起きるという言い伝えがあるからだそうです。火災を恐れるのは、今も昔も変わりありませんが、消火設備の乏しい時代、祈ることが災禍から身を守る唯一の手段だったのでしょう。