お年取りのお膳
今では12月31日を「大晦日」という人も少なくなってきました。ましてや「お年取り」などという言葉は滅多に使わなくなりましたが、一年の締めくくりを表現するにはとてもいい響きで、「よいお年を!」と挨拶し合う習慣だけでも残したいものです。ところで、お年取りお膳もまた、新しい年を迎えるセレモニーとしてとても楽しみものの一つでした。
定番の料理は、「人の頭に立ちたい」という願いを込めて尾頭付きの焼き魚、「子孫繁栄」のナメタカレイの煮魚、「たらふく食べられるように」という願いのタラの吸い物、それに、煮しめと茶碗蒸しがつていました。そして昔はめった食べられなかったという白いご飯というのが主なものでした。それでも、ナメタカレイの煮魚は比較的少数派だったようです。
特に、ナメタカレイの煮魚と尾頭付きの焼物が一緒に並べられるのはごくまれで、栗原地方、川崎・蔵王地区、白石、名取などだけです。最も、これは昭和初期のことだったようで、今では、どこの家庭でも、ナメタカレイや目抜けの煮魚は人気があるようです。そのためか、この時期になると、あの目抜よりも目玉が飛び出るほどに値上がりします。