松島の新たな取り組み
昨年の東日本大震災では、宮城県の沿岸部である松島町も大きな被害を受けました。しかし、松島湾の島々に守られ、「松島の奇跡」といわれるほど津波の被害は地の町や市に比べて少なく、国宝瑞巌寺も建物の手前で波が途絶え、観光客の一時避難所として活用されました。改めて先人の知恵に深く感銘を受けましたが、受けたダメージは少なくありません。
沿岸に集中する観光スポットの被害や名産の牡蠣の収穫量も大幅に落ち込み、観光松島の復興再生が強く望まれているところですが、こうした皆さまの声に応えるため、どちらかというと「観る」観光に重点が置かれていたスタイルを、既存の観光資源だけに頼らず、新たに「農産物」を観光資源として開発しようという試みが始まっています。まず、従来型の「観る」観光に加えて、里山の景観や田園風景を、農業体験を通して知っていただこうと、昨年5月から5回に分けて「松島あぐり塾」を開催し、田植えや稲刈り体験など地元農家の方々との交流をしました。これはJR仙台松島支部の女性部・青年部の協力によるものです。
7月と12月には、「松島復興ボランティアツアー」を企画し、牡蠣の加工施設の復旧活動と牡蠣の養殖棚に利用される竹林の整備作業を行いました。また、松島町の農産物を特化するため、「松島産たけのこ」の水煮などの加工品開発、伝統野菜である「松島白菜」の復活、チーズの開発などに挑戦し、今年3月には「松島逸品試食会」を開催しました。