ムサシからの提案
お店の修理も途中なので、経営状態も順調というわけではありませんが、お客様方のご支援により、何とか落ち着きを取り戻してきている今日この頃です。そんなわけで、震災当時の不安に満ちた会話は、一頃とは比べ物にならないくらい減ってきているように思います。そうした理由からか、当時の緊張感が少し緩んできていることも事実です。
そう思っていた矢先、わが家のムサシから一つの提案がありました。それは、震災当時どのようなことに一番不便を感じたか、あるいは不足していたものはどんなものかを書き出してみてはどうかというものでした。そうあらためて言われてみると、確かに、あんなに不便を感じていたことが、すっかり頭から抜けてしまっていることに気づきました。
ムサシにしてみれば、そうした油断が大敵であるということを私たちに教えたかったのでしょうが、正直なところ、少し唐突な気がしてムサシの顔を思わず覗き込んでしまいました。しかし、ムサシは大まじめで、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう私たちに灸を据えようと、敢えて意地悪な態度をとっているようでした。これには一本やられました。