あざら
大根の茎漬けや菜っ葉漬けの古漬けを魚のだしで粕汁にしたものが気仙沼地方では好んで食べられています。「あざら」はその代表格でしょう。昔この地方に「あざら」という名の法師が住んでいましたが、その法師、石灯篭を一人で担ぐほどの力持ちでした。法師とは徳の高い僧を意味する阿闍梨(あじゃり)と呼ばれたが、それが訛ってあざらとなった。
そして、手荒なこと、豪快なことを意味するように変化したといわれていますが、「あざら」はこの阿闍梨法師によって伝えられた料理とされています。それだけに調理方法は豪快そのもので、冬から春にかけて、酸味が出てきた古漬けと脂ののったメヌケを大きい鉄鍋どっさりといれて炊き、みんなで集まって丼で何杯も食べました。
隣近所にも振舞い、お互いにわが家の味が一番だと自慢し合ったといいます。あざらはさめてもおいしく、翌日になって煮返すと更においしくなり、一度炊くと二、三日食べていた。酒粕が入っているため体がよく温まるので、冬の食べ物として好まれるが解かるような気がしますが、高級なメヌケが入っているのも食欲をそそるのでしょうね。