イナゴの佃煮
イナゴは、稲の葉や茎を食い荒らす昆虫で、秋になると成虫になるため、収穫の秋には邪魔者として扱われてきた。しかし、その反面、カルシュームやタンパク質、ビタミン、鉄分などが多く含まれていることから、大切な食材として利用されてきたことも事実です。昭和三十年代までは、稲刈り時期になると、田んぼのあぜ道は「イナゴ取り」で賑わいました。
地元の小中学校では秋の行事として、一斉に田んぼにでかけてイナゴ取りをする光景が見られたものです。食糧難時代には貴重な栄養源であったイナゴですが、農薬の使用により激減してしまいました。それでも最近は、有機栽培や無農薬栽培が普及したためだと思うのですが、再び田んぼでイナゴの姿が見られるようになりました。
イナゴは栄養価が高いだけではなく、佃煮にするととても食べやすく保存も利くので、ご飯のおかずやお茶受けにもよく、素朴な故郷の味として残しておきたい一品です。赤くなるまでゆであげたらお湯から上げて水洗いし、ザルに上げて水を切り、砂糖としょうゆを入れて、カラカラになるまで空炒りすると、芳ばしい佃煮が出来上がります。