「てんでんこ」の教訓
岩手県の大槌湾に面した釜石東中と鵜住居(うのまい)小学校の生徒・児童570人は、大震災の当日、襲いくる大津波を見事に振り切り、高台に避難し全員無事だったという。一見当たり前のように見える行動ですが、なかなかの奮闘ぶりだったことが伝わってきます。低学年の児童たちはあの地震でパニックになっていても不思議ではないからです。
事実、泣きじゃくって迅速に行動できない子もなかにはいたようですが、中学生や上級生が小さい子の手を引いて統制のとれた行動をした賜のようです。この地区では日頃から防災訓練を励行していたことが功を奏したのはもちろんですが、「てんでんこ」の教えを守る姿勢が脈々と引き継がれていたことが第一のようです。
「てんでんこ」とは、「てんでんに行動しましょう」という一種の約束事のようなもので、岩手県から宮城県沿岸に伝わる津波に対する教訓です。いうなれば、津波の時は自己責任で行動しましょうというような意味ではないかと思います。引率の先生たちのリーダシップも見事だったのでしょうが、自分が今何をすべきかを子供たちがよく認識していたからこそできた連携プレーだったのではないでしょうか。何時までもグズグズして何も決められないどこかの偉い人とは大違いに思えてなりません。