ワンちゃんの小さな幸せをのみ込んだ津波
気仙沼市唐桑町の大沢地区で、津波に流された飼い主ら家族3人の行方を、一晩中ほえ続けて知らせようとしたワンちゃんがいたことが、4月23日付けの河北新報に載っていました。離れようとしなかった被災現場から、後日3人の遺体が見つかったという。このワンちゃんは、ラブラドールレトリバーの雌で名前は「シャネル」ちゃんというそうです。
3月11日の津波で地区の約8割の世帯が全滅し、自宅にいた飼い主の中村康一さん夫妻と母のみくみさんが流されました。翌12日午後、地元の消防団から「黒い犬がほえて作業できない」との知らせを受けた親戚が向かうと、家から300mほどの内陸部にある杉山の下で、めくみさんが使っていた布団の上にシャネルちゃんがいました。
3日後、現場からシャネルちゃんを娘のようにかわいがってくれていた妻の洋子が見つかり、残る2人も後日発見された。シャネルちゃんは今、康一さんの妹てる子さんの家族の元で暮らしていますが、散歩で元の家に行くと尻尾を振って喜ぶ。体つきも面立ちもムサシに似ているシャネルちゃんの写真を眺めていると、とても他人とは思えなくなります。