心に響かない復興の足音
震災で失った家や工場を復興させようとしてみんな一生懸命努めています。目の前に立ちはだかる瓦礫の山との格闘は予想をはるかに超え、被災した人たちの疲労はとっくにピークに達しているはずなのですが、それでも決してめげることなく日夜奮闘した結果、少しずつですが生活の基盤を取り戻しつつあるように感じられ、とても心強い限りです。
しかし、その一方で、一向に見えない国の長期ビジョンが復興の足かせになっているような気がします。危険地域に指定されているので、原則として住居を構えるのは禁止するという規制などは、一体どのように受け止めればよいのでしょうか?その代替案である仮設住宅の建設は遅々として進まない現状を見るにつけ、いらだちは募るばかりです。
第一、危険地域に指定された地域をどのように活用し、最終的にどのような街を作ろうとしているのかを明らかにせず、"危険だから住んではいけない"というのでは、私有財産の処分権をいたずらに制約するばかりで、頼り甲斐のある温かみはみじんも感じられません。国は一刻も早く、被災者が納得できるビジョンを示すべきではないでしょうか。