ムサシの思い
ムサシの報告によると、大震災で命を失った仲間たちも数知れないということです。そんな話を聞くまでもなく、ムサシにはそんな悲しみをさせなくて良かったなどと、つい本音を言ってしまいますが、そんな時、ムサシは決して喜んだ様子は見せません。むしろ、そんな不用意な言葉ムサシにとっては悲しさを増すことになるようです。
ムサシが元気だったころ、夢を見ているのか寝言を言うことがありました。もちろん夢の内容はどんなものか解りませんでしたが、悲しい夢だったのかどうかはすぐわかりました。たぶん今夢を見ているとすれば、あの悲しそうな表情になっていることでしょう。ムサシも小さな幸せを静かに感謝しながらも、仲間の不幸を心から悔やんでいるのです。
私たちは、無事でよかったですね!という言葉を日常的につかいますが、本来はあまり不用意に使ってはならない言葉のように思えてきました。ムサシ達ワンちゃんはそうした常識を心得ているかのように思われるからです。おおげさな同情も同じことで、本当に他人を思いやる心があるのであれば、もっと言葉を選ぶべきなのかもしれませんね。