石巻名物「和菓子 ちゃきん」
「ちゃきん」というとまず頭に浮かぶのが五目ご飯を薄焼き卵で包んだ「ちゃきんずし」ではないでしょうか。石巻の「ちゃきん」はちょっと違うのです。もち米粉入りの生地を、鉄板で焼いたものを三角に折り、こし餡を包んだだけのシンプルなものですが、これがまたとても素朴で懐かしい味がするから不思議なのです。
私が知っている限りでは、石巻市内の2軒、女川町の1軒だけですが、詳しい人の話では10軒ほどあるらしい。そのなかの一つである加藤菓子店では5個入り400円で販売しています。地元の人は昔から馴染んでいるせいか、特に珍しいとも思わないのでしょうが、観光で石巻を訪れた人には珍しいらしく、評判は上々のようです。
もう一軒は湊地区の旧石巻日赤病院近くにある佐藤商店というところです。病院がなくなってからは客足がめっきり減ってしまったと嘆いていましたが、味の方は昔のままで、こちらの薄皮にはフアンも多いようです。郷土の素朴な味が見直されるのはとても誇らしいものですが、それも伝統の技に拘り続けた粘り強さがあったればこそなのでしょう。