カニこづき
カニこづきとは、カニを小突いてつぶしたものに水を加えて漉した汁を煮ると、卵とじのようになることから「ふわふわ」とも呼ばれています。カニこづきに使うカニはモクズガニで、宮城県ではカワガニと呼んでいます。はさみに長い軟毛があるのが特徴で、日本全国どこにでも生息しているごくありふれたカニです。
このカニは、河口から海域までの広い範囲で産卵し、孵化した幼生は脱皮し成長しながら川をさかのぼり、2年から3年で成体となり、今度は川を下ります。秋には身がしまって美味しいといわれますが、春に食べる地方もあります。宮城県内の河川でも昭和20年代まではよく獲れましたが、今では北上川などで細々と漁が続けられています。
北上川の漁は、以前はタニシを稲らのミゴに付け、川に渡した縄に吊るして餌にしていましたが、今はタコ用の網かごに餌の冷凍魚を入れて仕掛けています。また、川底の浅い小河川ではドウを仕掛けています。カニこづきの他には、雑煮やおでん、汁物のだしにもされ、海カニにはない甘くて上品な風味が楽しめます。