切り麦
切り麦とは手打ちうどんのことです。宮城県北部ではお盆にこの「切り麦」と「ミョウガの葉やき」を仏前に供える風習がありました。切り麦という言葉は、宮城県以外でも広く使われているようですが、麦とは小麦のことで、小麦粉で作るという意味もあって麺と書いて「むぎ」と読んだとも言われているようです。
切り麦ではなく「うどん」と呼び、小麦粉を「うどん粉」といっている地方も多いようです。切り麦が食べられるようになったのは、原料の小麦が雑穀とともに栽培が奨励されたため、あるいは米に変わる主食となったことが主な原因のようですが、その後、江戸時代以降になると一般の家庭でも食べられるようになりました。
自家生産された小麦は、近隣の製粉所か各家庭の石臼で粉にされ、「はっと」「うどん」「葉やき」などにして一年中食べましたが、切り麦はハレの日の食事で、お客様が来た時に食べる上等な食べ物とされていましたが、農作業が休みの日にもよく食べられました。粉と水をこねる者、足で踏む者、家族全員で切り麦をつくる楽しみもあったようです。