お茶のあさひ園
和紅茶という言葉を聞いたことがあるだろうか。日本で生産される茶葉を使ってつくられる紅茶のことで、東北で初めての和紅茶は宮城県でつくられた。その和紅茶を開発したのは、石巻市旭町にあるお茶のあさひ園を運営する㈲ファーム・ソレイユ東北。東日本大震災を機に「石巻のもので石巻を元気にしたい」と石巻の桃生茶をつかってつくりあげた和紅茶「Kitaha(キタハ)」は、昨年のG20大阪サミットの首脳会食でつかわれ、各種メディアに取り上げられるなど一躍その名を全国に広めた。
「すべてゼロからのスタートでしたが、まわりの方々がいろいろな人に繋げて下さって、3年かけて完成しました」とキタハブランドを担当する日野朱夏(あやか)さんは言う。「海外の紅茶に比べて、紅茶独特のえぐみが少ないのが和紅茶の特徴です。キタハもすっきりとした味わいで、どの食事と合わせても邪魔をしません」。「誰かに寄り添えるものを」とつくったキタハから、再来年、新シリーズ「纏(まとい)」が誕生し、第6回東北みやげコンテストで最優秀賞を受賞した。第1弾は株式会社ざおうハーブとコラボ。
「誰かをそっと包み込んであげる存在になってほしい」と朱夏さんきが思い込めた纏は、リラックス効果があるレモンバーべナとカモミールの2種。第2弾も予定されている。キタハの茶葉から、クッキーや琥珀糖、メレンゲも生まれている。フードコーデネーターが考案したレシピをもとに製造しているのは、石巻市前谷地にある「パーラー山と田んぼ」のスタッフのみなさん。障がい者の就労支援を行っている石巻グリーフサポートが経営するパン屋だ。代表理事の木村さんはキタハの躍進を「まるでシンデレラストーリー。嬉しいですね」と喜ぶ。パーラー山と田んぼは、数少ない「キタハを飲める店」。カフェスペースで手作りパンやケーキと一緒に注文することができる。