東松島市の桜
東松島市に「滝山千本桜」といわれる桜の名所があるのを知っている人は、あまりないのではないだろうか。三陸自動車道を北上し、矢本ICから車で10分ほどのところにある滝山公園がそれである。小高い丘を登った標高91mの頂上、そこにある展望台から眺めは、まさに絶景。ピンクの桜の海の向こうに青い海と、牡鹿半島から田代島など島々が連なり、東南へ目を転じるとサクラと緑の山々、さらに蔵王までの360度ぐるり見渡せる雄大な風景が広がる。
「滝山千本桜」の名は、昭和42年の明治100年記念事業の一環に小野金次郎氏から寄贈された桜の苗木千本を植えたことによるものだという。頂上にはその記念碑があり、近くには、海を背景に「東日本大震災犠牲者慰霊碑」が建っている。ここはタイミングが合えばブルーインパルスの飛行訓練、大空に描かれるスモークアートにも出会えるというビューポイントでもあるそうだ。そうしたチャンスを狙って、カメラを構えている人も多い。
眼下で復興が進む海辺・野蒜海岸は、震災舞には「余景の松原」と呼ばれる黒松の林が、陸前高田市の「高田松原」や福島県いわき市の「舞子浜」などと並ぶ白砂青松の美しい景観をつくり出していた。航空自衛隊松島基地が見える北の方の海岸沿いに、少しだけその名残をとどめているのが見てとれる。今や500本以上のソメイヨシノやヤエザクラなどが小高い山を埋め尽くす滝山公園。花見には例年だと「滝山桜まつり」が開催され、出店もあり多くの人で賑わうそうだ。