人間に換算したワンちゃんの年齢
昔から気になっていたことの一つが、ワンちゃんの年齢と人間の年齢の関係です。今までよく言われていたのが、ワンちゃんの1歳が人間の7歳という見方が定説のようでした。この換算方法は、あくまでワンちゃんの平均寿命で人間の平均寿命を割った値(例えば84÷12=7歳)を根拠にしていたというような、極めてアバウトなものだったようです。確かに、帳尻はあっているかもしれませんが、このように直線的に右肩上がりで年齢が積みあがっていく換算方法には、多くの矛盾が潜んでいるようにも思っていました。ワンちゃんは人間よりも短命であることは疑う余地はありませんが、ワンちゃんの成長や老化は人間とはペースが異なるため、ワンちゃんの年齢を人間の年齢に単純換算することは困難なはずです。そこで、見た目ではわかりにくいワンちゃんの老化をDNAレベルで分析し、「ワンちゃんの年齢を人間に換算すると何歳になるか」を求めるための新しい公式が考案されました。「ワンちゃんの年齢が人間であれば何歳くらいなのか」を求めるかつての方法では、ワンちゃんの年齢に7を掛けて算出するため、1歳のワンちゃんは人間でいうと7歳、5歳のワンちゃんは人間で言うと35歳、10歳のワンちゃんは70歳に相当することになります。
しかし、ワンちゃんと人間では、成長と老化のペースが異なります。そのため、単純に7を掛けるだけでは、ワンちゃんの成長度を正しく把握できるとはいえません。そこで、カリフォルニア大学サンディエゴ校研究チームは、DNAメチル化を老化の定義に用いる方法を提唱しました。DNAメチル化とは、DNAを構成する炭素原子の一部にメチル基(-CH3)が付加する化学反応のこと。DNAメチル化は年齢を重ねるにつれて進行する傾向があり、人間だけでなくワンちゃんのDNAにも起こる現象であることがこれまでの研究でわかっていました。研究チームは、生後1ヵ月から16歳までのワンちゃんおよそ100匹から血液サンプルを採取し、DNAを分析。そして、1歳から103歳までの人間320人を分析して得たDNAメチル化のデータと比較しました。その結果、平均して「ワンちゃんの8週間が人間のおよそ9ヵ月に相当する」ということが判明しました。ただし、ワンちゃんにおけるDNAメチル化の進行速度は人間とは異なり、「ワンちゃんのDNAメチル化の進行速度は、若い時は人間より早く、年を重ねるにつれて人間の進行速度に近似していく」と研究チームは論じています。
そして、研究チームはこの研究結果から、「16×loge(ワンちゃんの年齢)+31=人間に換算した年齢」という公式を発表しました。これによると、ワンちゃんの1歳は人間の31歳、ワンちゃんの5歳は人間のおよそ57歳、ワンちゃんの10歳は人間のおよそ68歳であることがわかります。ただし、今回の研究で血液サンプルを採取したワンちゃんの殆どがラブラドール・レトリバーだったこと。そのため、「ワンちゃんの種類が異なる場合、この公式が完全に通用するとは限らないので注意が必要です」と研究チームは述べています。今回の研究で用いられた血液のサンプルが、ボクと同じラブラドール・レトリバーであったことと関係あるのかどうかはわかりませんが、この計算式は自分の感覚にマッチしているように思います。というのは、この計算式に当てはめて換算した年齢が、偶然にもオヤジの年齢と重なった時期があり、そのころは、よく議論もしましたが、基本的な考え方には違和感がなかったような気がします。そして、このころが相棒としての絆がより強固なものとなり、今日に至っています。