「十の宮」の伝説と日吉神社
富谷の地名の由来である「十の宮(とおのみや)」の伝説は、不思議な悲恋の物語だ。昔、富谷のあるところに、山里には稀な美女が暮らしており、多くの男性の噂の的となっていた。この美女のもとに、紫太夫という美男が、毎夜熱心に通ってきた。あまりの熱心さに思いあぐねた美女が修験者に相談すると、それは魔性のものに違いないと言われ、次に来た時に着物の裾に糸を縫い付けるよう助言された。美女は、その夜訪ねてきた紫太夫に「明日、お返事します」と言って、本人にわからないように着物に糸を付けた。
翌日、その糸を手繰ってみると、糸の先が大きな木のうろに入って行ったので、紫太夫は大蛇の化身だと知った。夜になって返事を聞きにやってきた紫太夫に、美女は「源内にある大木の上にあるコウノトリの卵をとってきてくれたら、望みを叶えましょう」といった。すると紫太夫は何とも哀しそうな顔をして帰って行った。それきり紫太夫はあらわれなかった。村の人々が、その木のあたりに行ってみると、卵を奪い取ったために卵を抱いたコウノトリをぐるぐる巻きにした大蛇は、羽ばたきされたために十の破片になって死んでいたのだった。
村人たちは大蛇を憐れみ、散り散りになった十の体を十か所のお宮(十の宮)に祀ったという。そのお宮の一つが、日吉神社と言い伝えられている。そり日吉神社にほど近い団地に「ばにら・びーんず」という可愛らしいケーキ屋がある。つい見過ごしてしまいそうな場所だが、20年以上続いているのは、その美味しさゆえだろう。こだわりは九州から取り寄せているピュアクリームと、黄身の色と味が濃い秋田産の卵。定番のコーヒーロールは、ふわふわの食感で、スポンジのやさしいコーヒー味と爽やかな生クリームの相性が抜群。モンブランは、甘さ控えめで、コクと風味が豊か。ケーキの中にも、カットされた栗がコロコロ入っていて嬉しい。