青下ダム
平成も終わり昭和はさらに遠くなってしまったが、その昭和初期に造られ、今も現役で稼働しているダムがあることをご存知だろうか。仙台市に水道を供給するために、昭和9年青葉区熊ヶ根に造られた青下ダムがそれだ。第一から第三まであるダムの周辺一帯は青下水源地となっていて、敷地内は水源涵養林として整備され、水道を学ぶための水道記念館もある。仙台市の水道の歴史を刻む施設が、いくつも残っているのが特徴だ。駐車場横に建つ水道記念館の前を進んでいくと、旧管理事務所が見えてくる。
局面上に突き出た階段室や丸窓など、レトロな雰囲気たっぷりの愛嬌のある建物だ。右手の坂を下りていくと小さな公園があり、かつては水が流れ出していたであろう山羊の頭をかたどった噴水口と記念碑がある。さらに坂を奥に行くと、水の流れる音が徐々に近づいてくる。緑に染まった木々の間から、突然という感じで青下第一ダムが視界に飛び込んでくる。地元産の意志が使われているという玉石貼のダムで、橋がかけられているので上から眺めることができる。
コンクリートに埋め込まれた玉石の上を、しぶきを上げながら水が流れ落ちる光景は、熱さを吹き飛ばしてくれるそう快感がある。その下方、石造りの壁に取り付けられた鉄扉が見える。この青下隊道入口は中原浄水場へ水を送る導水隊道の扉で、こちらも現役で稼働しているという。このすべてが国の登録有形文化財に指定されているのだ。さらに、中原浄水場にある建造物も指定されているという。仙台市の水道について楽しく学べる水道記念館や、敷地内には大小さまざまな散策路も整備されているから、水源の緑深き森をのんびりあるいてみるのも楽しい。