㈱オニコウベ鳴子温泉ブルワリーレストラン鳴子の嵐
鳴子温泉から県道108号線を鬼首へと進む。新緑の鳴子ダム、荒雄川の清流と残雪を冠した神室山の風景はまるで上高地のようだ。絶景ドライブを楽しんでいると、ほどなく吹上高原に着く。ここはオートキャンプ場などがある高原リゾートで、そのセンターハウス内に鳴子温泉ブルワリーはある。ブルワリーとはビール醸造所のこと。ここで醸造している定番は「高原ラガー」「やまぶどうエール」「ゆきむすびエール」と、いかにもこの土地らしいネーミングだ。実際は高原ラガーだけがビールで、他は発泡酒とのこと。「元々発泡酒の免許で醸造をスタートして今日に至るのですが、酒税法の改正で高原ラガーだけビールの分類に入れられました」と話すのは、20年前のブルワリー立ち上げから醸造に携わってきた遊佐忠勝次長。
土地の恵みをいかしたビール造りを目指そうとする場合、例えば果実などの副原料はビールでは5%までしか入れられないが、発泡酒の場合は制限がなく入れられるという利点がある。やまぶどうエールは、20%入った山ぶどうが香りと味に濃く表れ、ビールが苦手な人にも飲みやすくなっている。飲みやすさを重視しながら、自社の中でも差別化したいと、高原ラガーはほろ苦さと爽快なのど越しのピルスナータイプに、また、ゆきむすびエールは地元で収穫して自然乾燥させた米を副原料に使用している。「ゆきむすびは鳴子の米プロジェクトで作られた米です。スッキリした味わいに、酸味と甘みをプラスしてシャンパンのような趣に仕上げています」。
色を抑えるために主材料は麦芽と小麦を使ったとのこと。透明感のある黄金色が美しく、飲めば、洒落た味わいが口の中に広がる。国際ビール大賞を受賞している定番の他に、季節限定商品として「パイナップルエール」や、鹿島台のデリシャストマトを使った「シュワとデリシャス」もある。センター内にある「レストラン鳴子の嵐」からの展望もビールにぴったり。テラスの向こうに白樺の林、その向こうには美しい山並み。その中でいただくビールの爽快なこと。おつまみに軽い枝豆、ソーセージ&ポテトもいいが、地元特産のコシのある「ざる鬼そば」も賞味したいところ。20周年を迎え、リニューアルした瓶ラベルはこけしのデザイン。女性にはたまらない愛らしさだ。