宮城オルレ 奥松島コース(その2)
ここは「陸の奥松島」とよばれ、かつては海だったことを岩肌から知ることができる。月濱地区に到着したら、オプションルートの稲ヶ崎公園へ。階段が少し急なところもあるが、なんとか登り切り、力強い緑の葉が繁る椿の林を抜けると展望地だ。見下ろすと、神秘的なまでに静謐な入り江が数か所ある。視線を遠方に向けると、蔵王連峰や松島湾が見える。よく晴れた日には福島県相馬地方まで眺められるそうだ。さて、来た道を戻り、つき浜へ闇を進める。夏は海水浴場として賑わう。浜沿いや緑輝く道を歩き、島の中央にそびえる大高森を登る。ここからの眺めは、松島四大観の一つ「壮観」と称されている。360度の大パノラマは、伊達政宗も称賛したとのこと。
青く美しい海面に島々が点在する様子は、当時からそう大きく変わっていないと思われる。ちなみに、他の三観は松島町富山の「麗観」と扇谷の「幽観」、七ヶ浜町多門山の「偉観」である。東松島のオルレコースに詳しい市の担当職員の方々と、コースの案内をしている地域おこし協力隊の方に余力を伺った。まず挙げられたのは「森の中で海を感じられること」。たしかに、海が見える場所でも、静かな波の音を耳にすることがあった。生き物たちとの出会いも期待できる。狸や野ウサギ、リスなど、小動物が多いとのこと。ミサゴをはじめとした野鳥も見かけるそうだ。多彩な植物が生育しており、興味ある人に喜ばれている。6月は、優美な藤や、宮戸島が北限とされるマルバシャリンバイなどの花々を鑑賞できる。
また、爽やかな風や木洩れ日も、気持ちをリフレッシュさせてくれる。オルレの楽しみは、その土地の自然を鑑賞すること誰ではない。オルレとは、発祥の地である韓国済州島の方言で「通りから家に通じる狭い路地」という意味。その名の通り、実際に歩いてみると、民家のわきの細い道にも遭遇する。その地域の生活の気配を味わうこところも特徴なのだろう。コースの周辺には民宿や旅館、ホテルも揃っている。ゆったりした場所は、宿泊も可能。予約すれば、昼食のみでも利用できる施設もある。もちろん、飲食店もあるので、この地の美味しさを満喫するためには、好みの食事処を事前に確認しておくことも、おすすめしておきたい。