すていき小次郎
立町の一角に店を構え、36年間の時を刻んできた「すていき小次郎」。創業以来、仙台牛をメインにしたステーキ料理で多くのファンを虜にしてきた。「仙台牛は赤身と美しいサシが織り成す芸術品。お客様には五感でこの肉の素晴らしさを感じてほしい」と話すのは総支配人の松永和夫さん。美しいサシの表面に焼き色がつき始めると同時に立ち上がる甘く芳醇な香り、優雅な手さばき、目の前でお客様の好みの焼き方へと仕上げていく一連の流れは、カウンターならではのライブ感だ。
口に入れた瞬間まず驚くのはその食感。カリッとした肉の香ばしさに続くとろけるような甘味と柔らかさは、卓越した鉄板焼きの技のみが作り出す味わいだ。極上の仙台牛コースは、仙台牛ロース又はヒレ肉を使用した月替わりメニュー。四季折々の季節感あふれる料理を、有田焼や唐津焼などの美しい器とともに堪能することができる。肉の味付けには、南米ボリビアで獲れた岩塩を使用。
約3億年の歳月をかけて作られる塩は普通の塩より鉄分が20倍近くも多く、ミネラルが豊富でにかり成分が少ないという。仙台牛本来の美味しさに何かを加えるのではなく、肉本来の旨味を引き出すのが信条。その役目を担うのは、おろしたての本わさびと、全国で数々の栄光に輝いた生醤油だ。すべてのステーキを箸でいただくという配慮も嬉しい。「一客一亭」のおもてなしが、店と料理の随所にちりばめられている。