怪奇現象かな?
最近オヤジは5本指ソックスにはまっています。はまっているといってもゲームにはまっているのとは違って、健康のため機能が退化しつつある足の指を鍛える目的でやむを得ず着用しているというのが本当の理由です。オヤジには変な癖があり、その癖というのは、いやいややると、どんなに必要なことでも3日と続かないが、もっともらしい大義名分を掲げ自分のルーティーンに組み込んでしまうと、長続きするというものです。今回、このソックスを履き続けるようになったきっかけは、テレビで「足の指でグー、チョキ、パーを出せるようだと転倒防止になります」と医者が言っていたのを聞いたことでした。オヤジはグーとチョキの形は何とか作れるのですが、パーは、グーでもチョキでもないことを確認して、パーなのかと判定がつく程度です。つまり、足の指を大きく開くことができないのです。その点、お母ちゃんはというと、指の間が大きく開けるのはもちろん、足の指で人をつねることができる強者です。そのことは以前から知っていましたが、つまらないことを自慢するものだと冷ややかなオヤジでしたが、今となっては少し羨ましいようです。
それだけ転倒防止が大きな問題となってきたことを感じ始めているからでしょうが、考えてみれば数年前にも似たようなチャンスがあったような気がします。なぜなら、今回オヤジが愛用し始めた5本指ソックスは、その時にお母ちゃんに頼んで買ってきてもらったものだからです。ボクの記憶では、買ってきてすぐに履いてみたヤジは、これはダサいからやめたといって、方々歩き回ってようやく見つけてきたお母ちゃんを労いもせず、ポイと放り投げたのです。するとお母ちゃんは、それではもう捨ててもいいんですね! とオヤジに言うと、いや一応取っておいてくれ! と矛盾したことを言っていた。それが、今回春物と夏物の靴下を入れ替えようと、クローゼットをかき回していたとき偶然に、この5本指ソックスを見つけたのでした。つい先日、テレビで言っていたことが頭に残っていたのか、あるいは以前にポイと放り投げたことに対する贖罪の気持ちからか、とにかく履いてみることにしたのです。オヤジにしてみれば、以前のようにまたぞろ投げ出すわけにもいかなかったらしく、何とか一日は履き通しましたが、何だか履き心地が悪いようでした。
こっそりとその原因を調べてみたところ、なんと、足の指が1本増えて6本になっていたというのです。その証拠に、もともと5本ある自分の指は確かにソックスの指ホールに収まっているが、どう見ても1本指が余っている。もしかして、夕べ眠っているうちに指がまるで親知らず歯のように1本生えたのかと思い背筋が凍る思いだったという。慌ててソックスを脱いで足の指を数えてみたところ、特に異常はなくもとの5本指に戻っていたというのです。気を取り直して、もう一度挑戦してみたところ今度は何と指が4本しかなくなっている。怪奇現象やオカルトなどには全く興味がないはずのオヤジが、けげんな顔でボクに訴える様子を見ると、本気で足の指が5本になったり、4本になったりしていると思っているように見え、少し不気味にさえ思えた。しかし、どうにも納得がいかないオヤジは、じっくりと腰を据えて5本の指と指ホールの相性を確かめてみた。そして出した結論は1本の指ホールに2本の指が入ってしまい、ソックスの指ホールが1つ余ってしまい、それがどの場所で生じるかで指が6本になったり4本になったりする。そこで笑っているあなた! 試してみればガテンがいくと思いますよ。