定義如来 浄土宗極楽山西芳寺
大きな湖面に晴天を映し出す大倉湖。さらに山中の道を進むと、四方を山に囲まれた森の中に五重塔が見えてくる。「定義さん」の名で、古くから人々に親しまれてきた定義如来・浄土宗極楽山西芳寺。その始まりは830年前にさかのぼる。平重盛公(平の清盛の摘男)の重臣である平貞能公が、壇ノ浦の戦いに敗れて逃れ、この地に隠れ住んだ。貞能公は、重盛公より阿弥陀如来の宝軸を託されていたのだが、これは中国浄土教の祖師・法照禅師が文珠菩薩から授けられた画像の宝軸であり、平和祈願のための黄金を寄進した重盛公に、中国欣山寺から送献されたものだった。
貞能公は世をはばかって、名前を定義(さだよし→じょうぎ)と改め、大切な阿弥陀如来を祀った。時を経て、如来様のご霊威が盛んなことを知り、1706年、貞能公の重臣の後裔が西芳寺を建立して開山。以来、"定義さん"と親しまれ、近隣はもとり遠方からも参拝者の姿が絶えない。平日でも、家族連れやグループ、赤ちゃんを抱えたご夫婦、カップル等、老若男女多くの人が訪れている。また、祈願に、お礼参りにと年に何回となく足を運ぶ人も少なくないそうだ。
初詣の時期は、渋滞や路面の凍結もあり、仙台からでも車で2ないし3時間かかるそうだが、三が日は約5万人が足を運ぶ。1月3日までは仙台市内及び周辺の人々で賑わい、7日を過ぎた頃から遠来の人々が一年の計を願って訪れるという。「雪もあって凍結もしますが、冬用タイヤであれば通行は問題ありません」と寺務の方が話しています。白い雪山にすっぽりと囲まれた隠れ里、青い空にくっきりと神々しい光を放つ五重塔や宝輪。凛とした空気は心を浄め、新しい年を歩む気(エネルギー)を授けてくれる。