魚介料理 松平
国分町にあるビルの2階、気どりのない店構えの魚介料理「松平」は、知る人ぞ知る美食処だ。「親方25歳、私が21歳の時に店を開いたのが昭和47年。親方の包丁一本、和食一筋で今年46年になります」と快活な口調で話す、女将の高野栄子さん。カウンター越しに親方の包丁さばきに見とれていると、まもなく出てきたのは「たらきく鍋」である。まだらの引き締まった身と、生でも食べられる白子に白菜、ねぎのどの野菜。たらの旨みに、白子のぷりぷりとした食感と口の中でとろけるクリーミーな独特のコク。
しみじみと味わいたいのは、まさに北の恵みの絶品鍋だ。また、ここ松平では親方・高野次夫さんの故郷である、本場・亘理直伝のはらこ飯で有名な店。常連客から人気なのはもちろんだが、ホームページを見て、観光や学会で仙台にきた際に来店される方も多いそうだ。なんとホームページをつくっているのは親方本人で、その素人くささが評判らしい。料理を作るばかりではなく、ホームページ、そして野菜も自宅の畑で育てているというから驚く。
カウンターの上には形の様々な自家栽培かぼちゃが並ぶ。お酒担当は、女将。「うちで置いているのは大きな酒蔵のではなくて、お客様が手に入りにくい銘柄を紹介してくれたり...そうそう、今日も山口の"獺祭"という酒をお客さんがもってきてるんです」。料理、酒ともにお任せというのもうなずける。46年の暖簾はあったかく、どこかほっとできる雰囲気のお店だ。