柴田郡「川崎町」
蔵王のお釜や国営みちのく杜の湖畔公園といった有名な観光スポットがある川崎町。大らかな自然と温泉が心豊かな時間を提供してくれる。伊達家の御殿湯「青根御殿(建物は昭和初期に再建)」で知られる青根温泉、秘湯の一軒宿屋峩々温泉と笹谷温泉。それぞれ異なる趣の温泉をめぐるのも一興だ。青根温泉には、公共の日帰り入浴施設「じっぽの湯」があり、季節を問わず賑わいを見せている。仙台と山形を結ぶ笹谷街道が通る川崎町は、歴史的な見所も多い。桜の名所でもある川崎城址(城山公園)、支倉常長の墓がある圓長寺圓福寺、人喰い鬼から旅人を救った霊鳥の伝説が残る有耶無耶の関跡など。地場産品を求めるなら、JAみやぎ仙南川崎特産センターへ。とれたての新鮮な野菜をはじめ川崎町の美味しいものが揃う。山形自動車道笹谷IC近く、山間の渓流沿いにたつ一軒宿。芒硝泉・鉄泉・岩塩化土類泉の3つの源泉が融合した、全国でも希少な泉質の湯は、「奇跡の薬湯」「宝の湯」と呼ばれている。
飲泉も可能で、「入ってよし、飲んでよし」と、リピーターも多い。また、仙台市内にあった、明治時代の宣教師の屋敷を移築した「青根洋館」は、1階は観光案内所とカフェ。2階は国民栄誉賞を受賞した「古賀政男記念館」となっており、古賀政男が作曲などを手掛けたレコードジャケットや楽譜などが展示されている。そして、川崎町青根温泉の、奥まった場所にある「山影の宿 流辿」。周囲は豊かな自然に囲まれ、四季折々の景色が楽しめる。流辿の名のとおり、時代の流れを辿りつつ、良いものは残して、新しいものを創る。「守古創新」の精神で2004年8月のオープン以来、この地で、お客様を「思手成し(おもてなし)」してきた。思手成しは、「思う手で事を成すこと」。ご案内から料理、布団しき、掃除にいたるまで、すべてのスタッフが、思手成しを心がけている。
館内の温泉は、青根温泉の7つの源泉のうち、6つをブレンドすることで温度を調節。「青根の湯は『頭に効く』という昔ばなしがあります。眼や視神経痛、冷え性など身体を癒す効果も以前から知られていますが、精神にも効く成分があることが、最近の研究でわかってきました」と話すのは専務取締役の原太一郎さんだ。お湯の効能も素晴らしいうえ、露天風呂から眺める絶景も気持ちを癒してくれる。秋ならではの楽しみ方は、周囲の紅葉と、実りの季節を皿に描き出した絶品料理だろう。宮城の名産品の仙台牛や地元の契約農家の朝採り野菜、蔵王美澄鱒、蔵王牛など、上質な素材を使用。総料理長の過足亮さんは「つい箸を伸ばしたくなるような美しい見た目と、食べて初めて食材がわかって、驚いていただけるような料理になるよう努めています」と話す。客室は、バリアフリー対応の特別室や和モダン室、海外からの旅行客に人気の和室があり、ゆっくり寛げる。