旨いもの家 いま井
定禅寺通り国分町角を北へ向かってすぐ、細いアプローチの奥にある、まさに隠れ家のごとき洒落た店「旨いもの家 いま井」。40年前のオープン当初から出しているあんこう鍋は、旨いもの家の看板といっても過言ではないメニューで、この冬の贅沢鍋を毎年まちかねたお客さんで予約がいっぱいになるほど。上品な白みそと裏ごししたあんきもを、かつおだしでのばした出し汁とともにいただくと、アンコウの美味しさが口の中でとろけてゆく。
旨み、コクともに深い味わいにして、あっさりとしているのは和職人・今井優さんの技によるもの。あつあつほこほこの雑炊まで、心ゆくまでしみじみと堪能できる。高級食材として吟味したあんこう鍋の旬は10月から5月。コースとしても鍋のみでもいただける。コースに付くえび、ほたての入った茶巾シューマイ、また通しに必ず出される肉厚の金華さ寿司も、料理人の丹念な手仕事が味わえる。素材の一つひとつがきわだち、それでいて調和のとれた和の粋だ。
「女性のお客さんも多いですし、男性が一人でぶらりといらっしゃることも多いですね」と話すのは、お店に入ってもう6年という息子さん。しつらいから器、グラスまで繊細な心遣いが伝わるお店で、女性に人気というのもうなずけるところ。靴を脱いでゆったりとくつろぎ、日本の美食あんこう鍋を存分に楽しみたい。コースで5000円、単品で3000円という思いのほかリーズナブルな値段も嬉しい。