真・海・菜・食 「しん」
「秋保の朝どり野菜を、サラダ感覚でいただく鍋なんです」と話す、葉山町にある「しん」の親方根本さん。寒さと共に美味しさが増す野菜を、酒粕ならぬ醤油粕としょうゆこうじの汁でいただく鍋だという。シンプルな野菜鍋だけあって、素材の良さが命。「食材である野菜も料理も、ものづくり。こういう人がつくったものだから使いたいな、と実際会って思えた人のものだけ使っています」。無農薬・無化学肥料で育てた秋保大滝農園の旬の野菜を、他にはない醤油粕とこうじの汁にさっと通し、しゃぶしゃぶふうに食べる。
時間とともにくたっとして、さらに甘みを増した野菜に顔がほころぶ。あらためて知る野菜の、体にしみわたるやさしい味わいだ。野菜の甘みがスープにどんどん移っていく。銘々が鍋に追加していき、自分のペースで食べられるのがこの鍋のよいところ。フードコンペンションで2位をとったさんまと鶏のつくね、さらにぶりや金華さばといった旬の魚介の刺身を、お好みで入れていく。鍋の中でコースが展開されていくという感覚だろうか。最後も白石温麺と、地場産品応援の店ならではの地元・宮城尽くし。
他の〆として雑炊やうどんも用意されている。街中から少し外れた葉山町にお店を構えて11年半。旬の野菜、魚介の本来の旨みをもっと楽しんでほしいと考えているうちに、野菜に特出した店になっていたと語る。女性客も多い。ある単身赴任の男性のお客さんは、お店に通ってダイエットできたという話だ。大地の滋味たっぷりの鍋は、たしかに健康にも美容にも良さそうだ。また、店の作りにもこだわりを持っているようで、太い柱やはりは、古民家風の雰囲気があり、料理の美味しさをより高めていのようだ。