すてーきハウス牛楽
ふとしたことで目にした「産直smile スタンプラリー」というフリーペーパーをパラパラめくっていると、たまたま目に入ったのが、「すてーきハウス牛楽」という店でした。ちょうどその日は日曜日だったので、紹介記事にあった番号に電話してみた。するとタイミングよく12時半ごろなら予約が取れるということなので、そちらまでどれくらいで行けるでしょうか? と聞いたところ、三陸道経由であれば1時間15分程度ですという答えが返ってきました。それではドライブがてら出かけるのにちょうどいいということで、その時間で予約しました。行く先をカーナビにセットして出発したところ、所要時間は1時間34分ということだったので、経験上20分内外は短縮できると見込んで三陸自動車道を目指しました。登米東和インターまでは、45分ほどかかりましたが、土地勘がないせいか、そこからはかなり長いように感じました。途中狭い道や工事中の所もあったので、少し不安でしたが、結果的にはご主人の案内通り1時間15分で到着しました。
出迎えてくれたご主人夫妻は、なかなかの話し好きで、この店を作った経緯や山本譲二、香西かおりなどの芸能人が訪れたこと、食べログでこの店が紹介されたこと、仙台牛は格付けが5等級(最高ランク)のみ、などと話題は豊富なのですが、肝心のオーダーを受けようとする様子が見えません。それもそのはず、ご主人は、自ら「ちばしょうファーム」という牧場を経営されており、JAみやぎ登米肉牛部会会長を務めてられている方だということです。この店を開店した動機も、仙台牛の品質の良さを全国にPRするのが目的というくらい、郷土愛の強い方なのです。ご主人曰く。品質の良さでは天下一品なのですが、後発隊であるため、「神戸牛」や「松坂牛」などに比べ残念ながら、ブランド力では後塵を拝している。つまり、ご主人が目指しているのは、仙台牛を全国ブランドに押し上げるという強い志がこの店を開店させたというわけです。それが長いトークとなったのであれば、多少お腹がすいたぐらい我慢しなければと思いました。
そんなわけで、ようやくお目当てのサーロインステーキを注文することになりましたが、ご主人は、これから調理する肉をトレーに入れたまま、目の前に持ってきて、どれくらい食べられますか? と聞くのです。さらに、はじめにこの半分ぐらいにして、もし足りないようであれば、追加しますから! とも言います。そこには商売気よりも顧客満足を大事にする商いの原点があるように見えました。焼き加減もこちらの注文通りでちょうどよく、久しぶりに"本物のステーキ"にありついたようで、胃袋も心も豊かになりました。付け合わせの野菜も新鮮で、ステーキとの相性も抜群でした。食事を済ませ、会計をお願いしたのですが、中々帰してくれません。今度は奥様も加わり地域の話で盛り上がってしまったのです。帰途は安心したせいか、ちょっと道に間違えたりしましたが、その分、色づき始めた山々をゆったりとした気分で眺めたり、北上川の悠久の流れを近くに遠くに感じながら、車を走らせました。その時、ステーキの美味しさと、一服の絵にも似た大自然の景色がセットとなって地域ブランドを作り上げているような気がしました。