香ばしの仙臺まころん
約90年に亘って仙台の人々に愛されてきた焼き菓子を、古今東北商品にラインアップしました。当初から変わらない、落花生の風味と香ばしさ、サクッとした歯ごたえが魅力です。「発売当初は高級洋菓子だったのだろうと思います」と株式会社伊藤食品工業所の伊藤幸明さん。伊藤さんの祖父の代に仙臺まころんは生まれました。仕入れた落花生を焙煎し、自家製粉。砂糖や重曹を混ぜて卵や水を加えて生地をこねたり、形で抜いたり、ザルで転がして丸めたり「焙煎からすべて手作り作業だったと聞いています」と伊藤さん。「私も経験がありますが、重さ10㎏の生地を何度もこねるのは、特に大変な重労働でした。
機械を導入するようになり、負担はかなりらくなりましたね」。それでも、機械に任せられない工程は今でも手作業のまま。「機械で生地を伸ばし、型抜きできないかと思ったのですが、落花生の風味の要である油分が押し出されてしまって。人の手の絶妙な力加減は、機械には再現できませんでした」。風味を出すため、落花生は油分の多いスパニッシュ系を使用。油分をできるだけ落とさないよう、あら挽き、製粉という3工程を踏んで徐々に粉状にします。ほかに甜菜糖と古今東北商品でもある白石蔵王の「竹鶏たまご」が使われており、竹炭が入った餌や竹炭で浄化された水で育った鶏の生む卵は、卵独特の臭みがなく、他の食材の風味を活かしてくれます。
「仙臺まころんの材料はシンプル。だからこそ、一つひとつにこだわりたい」と伊藤さんは話します。「もちろん、同じ材料を使っていても、季節や温度によって工程の調整は欠かせません。生地を練るのは機械でも、どの程度練ればいいのかを判断するのは人の手。オーブンの温度や時間の調整も必要です」。祖父の代から伝わる作り方を引き継ぎ、機械を取り入れつつも手作業に重きを置く。仙臺まころんの味は、そうして守られてきたのです。古今東北では小粒サイズでの提供。コーヒーや緑茶などと相性がぴったりです。また、「粉々に砕いてアイスクリームやヨーグルトにトッピングすると、落花生の香りと香ばしさがいいアクセントに」。是非試しくださいとのこと。