了美Vineyardand Winery
仙台市中心部から車で1時間ほど、山里の風景を走り抜けると大和町吉田旦ノ原の山の斜面を切り開いた広大なブドウ畑が現れる。一昨年、宮城県で3番目のワイナリーとして誕生した「了美Vineyardand Winery」。昨年は醸造所が完成し、今年はレストランも開設する計画とか。ワイナリーを建設・運営するのは、仙台市の農業生産法人「みらいファームやまと」。約15haの敷地では、取締役の早坂美代子さんや醸造家の北村工さんたちスタッフが、ブドウの苗木を植える作業に汗を流している。
一昨年秋の植樹式で植えた苗木は200本。このときはメルローとシャルドネの2品種だけだったが、昨春は一気に2400本を追加し、計画10品目に増えた。「今年は4千本を追加する予定とのこと。レストラン建設予定地の山の上から仙台平野が一望できる。なぜこの土地でワイナリーを? みらいファームやまとの早坂了悦代表取締役に尋ねると、「ワイナリーは人々の交流拠点になるだけでなく、観光資源にもなります。過疎化と高齢化が進む中山間地域の課題を解決するのにふさわしいと思いました」との答えが返ってきました。
元は牧草地だったワイナリーの敷地の一角には、大小の石がゴロゴロと積まれている。水はけの良い証拠だ。気候も冷涼かつ寒暖の差がある。北村さんは「日照も十分だし、風が通るので空気が滞留せず、ブドウの木が病気になりにくいでしょう」と太鼓判を押す。フル稼働すれば約2万8千本のワイン生産を見込んでいるという醸造所も、完成したので良質のブドウを使った、おいしいワインづくりにスタッフ一同で励んでいる。