都合のよい話を信用したくなる
5月12日(土)の日本經濟新聞の社説に、「睡眠不足が招く生産性の低下」というタイトルで次のような記事が載っていました。「日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最短だった。国立精神・神経医療センターの研究によると、これは必要な睡眠時間より1時間ほど短い。不足の影響は蓄積し、自律神経の働きやホルモンの分泌に異常をきたす。気持ちを落ち着けストレスを低下させることが十分にできず、うつ病を発症しやすくなる。血糖値を調節するインスリンや血圧の調整にも支障が生じ、糖尿病の悪化などにつながる。アルツハイマー病と関係が深い、脳内にたまった不要なたんぱく質の排出機能が弱まる。週末の寝だめでは改善しないこともわかってきた。働き盛りの人では実際の睡眠時間は平均よりも短く、5ないし6時間の場合が多い。必要な睡眠時間には個人差があるとはいえ、これではまったくたりないというのが専門家の見方だ。......」。
オヤジは、この記事を読んでいるとき、テレビでは、「名医のTHE『太鼓判』」という番組にも出演している某先生が、適正な睡眠時間は7時間で、それ以上多くても少なくても死亡率が1.6,7倍高くなる、と自信ありげに話していました。上の記事と同じなのは、「寝だめはいけない」というぐらいであとは、まったく正反対でした。某先生の説が医学的に正しいのであれば、日本人は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の人々よりも、22分も睡眠時間が長く、早死にのリスクが高いということになるわけです。そうだとすると、日本人平均寿命が世界第2位{83.8歳:世界経済フォーラム(WEF)}というのは頷けません。もっとも、テレビで堂々と披露するくらいですから、それなりの根拠はあるのでしょうが、それにしても、どちらのデータを信用すればいいのか迷ってしまいます。常識的に考えれば、昨年度最長となった香港(84.3歳)に抜かれたわけですから、睡眠時間が足りないというのが、説得力があるように思えるのですが?
最近、健康に関する話題が多くなるにつけ、新聞の特集記事やテレビなどで、専門家の解説が多くなっているようです。それは大変ありがたいことなのですが、上記のように解説に隔たりがあり、混乱することがよくあります。なにしろ、人間を研究材料にして人体実験をするということは難しいわけですから、何百人、何千人のデータと言われても信憑性は薄いように思います。ところが、テレビに出演されている先生方は、あたかも真実であるかのような口ぶりで話されるので、素人である私たちは信用せざるを得ません。例え、出演している番組が、バラエティであろうと、学術的なものであろうと視聴者にとっては貴重な情報であることには変わりないので、責任ある発言をしていただきたいものです。へそ曲がりのオヤジは、この種の番組はあまり参考にならいといって、お母ちゃんとボクが、「〇〇についてテレビでやっているよ」と言って見るように勧めても、あまり耳を貸さなくなってしまいました。