石巻産 ふんわり煮焼真あなご
真穴子を使用した「石巻産 ふんわり煮焼真あなご」。特性ダレにつけてふんわり焼き上げた、味わいのある逸品です。真空パックにして、美味しさをぎゅっと閉じ込めました。三陸沿岸の金華山沖は、日本有数の穴子の漁場。特に真穴子は身のやわらかさや希少さから、ほとんどが活魚として築地市場へ送られ、高値で取引される高級魚です。主に寿司屋などにしか卸されず、家庭にはなかなか並ばない真穴子を、東北の人々に手軽に食べてもらいたい、そんな思いで商品を生み出したのが、株式会社ヤマトミです。この会社はもともと、関東・関西方面のお取引先から委託を受けて寿司ネタ加工を行っていましたが、東日本大震災で工場が全壊したことをきっかけに、個人向けの自社商品へと舵を切り替えました。ある生産会社さんが場所を貸してくれまして、従業員10人と、しめ鯖から再スタートしました。
包丁と酢と塩と冷蔵庫があれば作れますし、うちの従業員は包丁さばきには慣れていましたから」と話すのは株式会社ヤマトミ常務取締役の千葉尚之さん。業務用として売るだけの数は作れないため、個人用に小売りをしようと考えたものの、商品を売るための店舗はありません。それならばと、出来上がった商品を持って東京に行き、当時復興支援のため盛んに開催されていたマルシェに参加。「当初は風評被害も多く、苦戦しました」。それでも出店を繰り返すうち、徐々に口コミで広まり、業務用商品の製造の話も舞い込むようになりました。現在は復旧した工場で、約60人の従業員と、石巻に水揚げされる魚を利用した商品も提案しています。「温泉旅館や居酒屋など、幅広くおつきあいさせていただいています。ありがたいことです」。「真穴子は手に入りにくいので、仕入れには苦労しています」と千葉さん。
真穴子は通常よくスーパーなどで見かけるイラコアナゴと比べると、10分の1程度しか獲れないといいます。ヤマトミでは、真穴子を石巻市にある本社工場の冷凍施設で保管しています。煮焼きする前日に解凍し、さばいた状態で老舗店と共同開発した特性のタレに一晩漬けこみます。じっくりタレがしみた穴子は、循環式加熱蒸気ロースターという機械で蒸し上げていきます。「もともとはから揚げをノンオイルでヘルシーにつくるのに使われていた機械で、魚に使おうとしたのはうちが初めてですよ」。焼かずに蒸すことで、水分を含んだままのやわらかい仕上がりに。商品開発の殆どの時間を、温度や蒸し時間の見極めに費やしたそうです。「ふんわり煮焼真あなご」を湯煎であたため、封を開けると、特性ダレの香りが広がり食欲をそそります。真空パックでありながら、ふんわりとしたやわらかさは作りたてそのままです。お勧めの食べ方を聞いてみると、「刻んでひつまぶしにするのもいし、たまごとじ丼もおいしいですよ」。希少な真穴子のおいしさを存分に味わってみたいものです。