エゴと自己主張の違い
先日、「不満を並べればきりがない」というタイトルで、給与制度の設計についてお話しさせていただきましたが、中止半端な終わり方をしてしまい大変失礼いたしました。大方の読者の方には、「全体の目標を達成しなければ、個別の給与はあがらない。自分が全体目標達成に貢献しなければ、自分の給与は上がらない。」という大原則にご納得いただけたと思うのですが、「どのレベルの社員層が、これに消極的であったかをはっきり聞きたい」というご意見をいただきました。そこで、今回はその答えをはっきりと申し上げることにします。それは、ずばりいって、「幹部社員」だったのです。
その理由をオヤジに聞いてみると、これはあくまで私の推測だが、と前置きして説明したところによると、幹部社員は、会社に対して愛着があり、「全体目標を達成しなければ、個別の給与はあがらない」という前半部分には大賛成のはずである。ところが、後半の「自分が全体目標達成に貢献しなければ、自分の給与は上がらない。」という部分がどうやら気に入らないらしい。つまり、「みんなが一生懸命働いて目標を達成するのは大賛成だが、自分が自ら進んで汗を流すのは避けたい。」ということではないか?というのです。
その証拠に、労働組合員や若年層の社員は概ねこの大原則の趣旨を理解してくれたという。しかも、驚くべきことに、当初、この給与制度改革に積極的だったのは幹部社員であったことだとオヤジは言います。あらゆる社会制度の基盤となっている、そして伝統的な「お互い様」という常識を給与制度のバージョンで語ったつもりだったようですが、「エゴ丸出しでは、神輿に乗りたい人ばかりで、かつぐ人は誰もいなくなってしまう」と嘆いていました。ボクとオヤジがこうして相棒でいられるのも、「自己主張はしても、エゴにはならないという暗黙のルール」を、意識せずに守っているからだと思います。