鹽竃神社の門前市
鹽竈様の参道で毎年春と秋に2回、鹽竈神社門前市が開かれます。陸奥国一之宮として名高い鹽竈神社。1200年の由緒ある神社の表坂と呼ばれる参道の下からは、そびえ立つような202段の石段がまっすぐに門へと続いています。この表参道下広場で、この門前市が開かれるようになったのは、ほんの10数年ほど前のことです。塩竈市観光物産協会が、門前町の賑わい創出の一環として始めたそうで、毎回30店ほどの店が軒を連ねます。「雨の影響で中止になったこともありますが、その次の年は出店もお客さんも多くなるようです」と話すのは、塩竈市物産協会の伊藤さんです。
これまでの門前市では、1日1000人から1500人の人出があっそうですが、ゴールデン・ウィーク中のときは、神社を訪れる参拝客も多いので、門前市に立ち寄る人も増えるという。参道入り口の一番手前の店、荻原醸造の荻原さんに話を伺いました。鹽竈神社のすぐ近く、大きな仕込み樽が店先に置かれた創業126年の味噌・醤油の老舗です。玉こなにゃくのいいにおいがあたりに漂っています。「きあげ醤油といううちの一押し商品があって、きあげがベースのだし醤油『つゆの里』で煮込んだ玉こんにゃくなんですよ」。
きあげとはもろみを絞った原液のことで、薄めず何も加えないいわば素の醤油のこと。「醤油の味を味わってもらいたいので、するめも入れないし、からしもつけません」。一口ほおばると、まろやかでほんのり甘い醤油の味が絶妙です。歯応えのいいこんにゃくも選りすぐりで、産地は秘密とのことです。鹽竈様の門前で市が立って賑わうのが、素直に嬉しいという。この門前市は、入り口から手前が食品、奥の階段下は個人のフリーマーケットに分かれています。また、階段を上った左手には優雅な野だての茶席も用意されていました。