不満を並べればきりがない
だいぶ前の話ですが、オヤジはある会社から給与制度の設計を頼まれたことがあった。これは結構難しい仕事だと判断したオヤジは、まず、現在の給与制度について社員の皆さんがどう感じているかを確認するため、幹部社員、中堅社員、入社5年前後の社員、そして労働組合の代表者からなる検討委員会を立ち上げることにしたのだという。経営幹部は、この検討委員会に、労働組合の代表者が入ることに積極的ではなかったということですが、オヤジは、幹部社員に向かって次のように説得したという。
現行の制度が機能しなくなった大きな原因は、労働組合側が、現在の給与体系に不満の意を唱えていることによるものである以上、労働組合側の意見を聞いてみなければ、どんなに合理的な提案をしたとしても、たちまち否定されてしまうでしょう。だから、この委員会で、現在の給与制度が抱えている問題点について、意見を聞いてみることが何よりも優先するのではないでしょうか。こうして、何とか立ち上げた検討委員会でしたが、予想通り呉越同舟といった感じで、当初はあまり建設的な意見は出なかったということです。
自分の要求は山ほどあるのに、その要求が他人には受け入れられるはずがないことを、メンバー全員がよく知っていたからです。つまり、給与制度の改定は必要だが、誰もが納得できる提案はできなかったというわけです。そこでオヤジは、「全体の目標を達成しなければ、個別の給与はあがらない。自分が全体目標達成に貢献しなければ、自分の給与は上がらない。」という大原則を委員会のメンバーにぶつけてみたのだそうです。すると、これがたたき台となり、議論が進み妥協点が見つけられたが、最も消極的だったのはどのレベルの社員だと思いますか?