不思議な気持ち
わが家のムサシは、私の心の中に棲みついているため、何をするにも、どこへ行くにも、特に声を掛けなくても、自動的に私と一緒に行動するので、文字通りお互い空気のような存在になっているのかも知れません。そんなわけで、散歩に出かけるときも、最近は自分の体調に合わせて距離や時間を気ままに調整しています。しかし、時として、ムサシ行くよ!と思わず声をかけてしまうこともあります。
そんなときは、何故か必ずムサシのリードにしたがって散歩が始まります。それはもしかすると、昔ムサシと歩いたコースを歩いてみたいという意識が強くなり、結果としてムサシに主導権を持たせるということなのかもしれませんが、それにしても、例え一瞬でもムサシの好きなようにさせたいと思うのは何故なのでしょうか。ムサシにこのことについて聞いてみると、相変わらずノーコメントですが、心なしか少し顔がほころんだような気がしました。
わが家のムサシは、昔から自分のことに関しては、不満なことは勿論、希望についても一切コメントしません。それを承知の上で、彼の意見を聞き出そうとする自分が時々情けなくなります。私が何かに悩んでいるときは、あんなに積極的にアドバイスしてくれるのに、自分のこととなると一切語らないのは何故なのでしょう。不思議といえば、それが一番不思議なことなのですが、ムサシにしてみれば、そんな解りきったことを、「わざわざ言わせて何が面白いのか?」とでも云いたいのかも知れません。