塩釜神社博物館
奈良時代に創建され、1200年の歴史を誇る陸奥国一宮「塩釜神社」は、1607年に仙台藩祖伊達政宗によって再興され、歴代藩主もあつく信仰してきました。「伊達者」の語源となった言われる仙台伊達家の装いは、おしゃれで派手なイメージが強いようです。しかし、武家のシンボルである日本刀では、華美なものよりも質実剛健の作風が好まれたという。その一端を示すのが、歴代藩主の「奉納太刀」です。
4代藩主綱村が1675年に「来国光」(国宝重要文化財)を納めて以来、仙台藩では藩主が代替わりする節目に、塩釜神社に太刀を奉納するのが慣例だった。太刀はいずれも仙台藩お抱えの刀工(仙台刀工)が手掛けたものです。塩釜神社博物館学芸員の茂木裕樹さんによると、藩主による太刀の奉納は、仙台東照宮や瑞宝殿などでも行われてきましたが、35振ものまとまった形で保存されている例は他にはなく、「仙台刀工の歴史を知る上で貴重な資料」だという。
仙台刀工の系統は八つに分けられ、その代表が1614年に政宗が召し抱えた刀工、本郷国包(くにかね)だった。国包が得意とした「大和伝」と呼ばれる質実剛健の作風は、後代の弟子に引き継がれ、他の仙台刀工にも大きな影響を与えました。同館では国包の作品をはじめとする奉納太刀や太刀の外装「糸巻太刀拵(こしらえ)」ともに、日本刀に関する基本知識(刃文など)を解りやすく解説するための工夫がされています。