駒場瀧不動尊愛敬院
宮城県の最南端に位置する丸森町にある駒場瀧不動尊愛敬院は、約100年前に慈覚大師によって創建された修験・山伏の祈願寺院です。中尊寺や山寺を開いた慈覚大師は、福島の伊達市に創建した霊山寺の鬼門の守りとして、ここを淨地として選び、世の平和と人々の幸せを念じて、内川の駒場ケ瀧で不動尊像を刻み、岩窟の中に祀ったと伝えられています。見渡し台からは、数十メートルの高さの巨岩群をぬってしぶきを上げる内川の清流が広がります。
その上流には、苔むす岩を流れ落ちる清滝や緑濃い岩岳などが望め、まさに淨地であったことが解ります。本堂脇の遊歩道を内川に沿ってキャンプ場に向かうと、対岸には不動尊が祀られているという巨岩を眺めることができます。鎮守の森には様々な伝説があり、その一つが源義経にまつわるもので、義経主従が参拝した際、主君の武運を祈って、弁慶が騎馬のまま瀧を飛び越えたという馬の蹄跡や本堂裏には通称「おもかる石」と呼ばれる五輪塔があります。
この塔は、「重くなれ」、「軽くなれ」とそれぞれ念じながら、左右に3回ひねって持ち上げ、重さの違いを感じたら、お不動様へのお願いが早く叶うと言い伝えられている縁起石です。さらにもう一つ、見逃せないのが猫神様です。かつて養蚕で栄えた丸森町は、蚕を食べるネズミから守ってくれる猫を大切にしていました。それを今に伝える猫の石碑や石像が、町内に64基もあり、その中の一基を仁王門前に見ることができます。ちなみに、その数は日本一だそうです。