どちらが「しぶとい」のか「しつこい」のか
先日、お母ちゃんが洗濯物を干しているとき、ふとベランダ軒下に目が行くと、一匹のハチがせっせと巣をつくっていることに気がついたというのです。最近は、わが家の庭にも時々スズメバチが出没するようになっているので、これは大変と思ったお母ちゃんは、作りかけの巣を取り払いました。しかし、次の日も同じようにハチがきて、やはり巣をつくっていたのを発見し、またすぐに取り払いました。そして、こうした攻防が何日か続きました。
お母ちゃんにしてみれば、何と「しぶとい」ハチなんだろうと思ったに違いありませんが、一方のハチにしてみれば、なんと「しつこい」おばさんなんだと思ったことでしょう。さすがにその後は、巣作りをしている様子は見られなくなりましたが、考えてみれば確かにかわいそうなことをしたような気もします。ハチたちにしてみれば、ボクたちが人間の傍に行くと、刺されるのを嫌がり追い払おうとする。そのくせ、ボクたが丹精込めて作った「蜂蜜」は、何の断りもなく胃袋に入れてしまう。
人間は、これを生物の共生などという勝手な理屈をつけているが、ボクたちにしてみれば、いい迷惑以外の何物でもない。「人間にハリを向けるのだって、人間たちがボクたちの領分を侵そうとするからで、攻撃することに意義かあるわけではない。本当に心から共生を願っているのであれば、嫌ったり、盗んだりせず、もう少し友好的に付き合う姿勢を示してほしいものです。」ハチたちは、こうなげきながら別の場所で巣作りをしているのではないでしょうか。