県南の桜の名勝
県南地方の桜といえば、「一目千本桜」や「白石城の桜」が有名ですが、宮城県内で最も早く桜が咲くのは、白石市の常林寺境内に咲く江戸彼岸桜です。寺の敷地内には棕櫚(しゅろ)木が多く、朱色の竜宮門とも相まって、南国の雰囲気を醸し出しています。山門をくぐると、右手に見事な桜が目に入ります。胴巻きで保護された幹、四方の支柱など、樹齢350年の老木であることが窺われます。
この桜の樹高はおよそ8m、幹周は2.5mもあり、一時期樹勢が衰えましたが治療の結果見事に回復しました。この江戸彼岸桜は、白石のみならず東北に桜前線の到来を告げる早咲きの桜で、毎年のようにテレビでも紹介されている有名な樹木です。平成20年7月に市の天然記念物に指定されています。境内にある20本ほどの山桜や枝垂れ桜、ソメイヨシノなどが満開になったとき、その景観は見事です。
常林寺には、この江戸彼岸桜の古木以外にも多くの桜が咲き乱れ、手入れの行き届いた庭も見事です。片倉小十郎ゆかりの寺として、白石城にあった「時の太鼓」が保管されています。太鼓は、現在の白石城脇の神明社郷土館近くにあった建物で、この建物の二階で、階下に灯をともして時を計り、一刻(現在の2時間)毎に太鼓をたたいて、時を知らせたものだといわれています。