旧佐藤家住宅
旧佐藤家住宅は、宮城県の南部に位置する角田市高倉にあります。市の南北を貫くように阿武隈川が流れ、春は河川敷で菜の花まつりが開催され、多くの人で賑わう角田市。この地には、奥州藤原氏三代目秀衡と妻らによって建立されたと伝えられる、宮城県最古の木造建築である「高蔵寺阿弥陀堂」があり、「旧佐藤家住宅」もこの境内にあります。
この住宅は、江戸時代中期の仙台藩領内中規模農家の典型的な建物で、昭和46年に国の重要文化財に指定されました。18世紀中頃から後半頃にかけて建設されたものと推定されています。建物は幅16m、奥行き10mの直屋(すごや)で、屋根は寄棟造、瓦葺きです。間取りはいわゆる「三間取り広間型」です。全体の4割を占める土間には、丸みのある太い柱が対になって6本立ち、古式で明快な梁組が見られます。
この旧佐藤家住宅は、佐藤家の新築計画にともない、地元角田市が佐藤氏より寄贈を受けることになったものです。天井は煙出しのためと藩の禁止令のため設けられておらず、太い荒けずりの柱は鳥居建という古式の構造で、木材の曲りを巧妙に利用した柱や梁からなっています。なお、「直屋」とは、「「曲り家」に対して用いられる用語で、床上部と土間が一つの棟に収容された、一般的な長方形平面の建物を指します。