松島町花の「セッコク」
セッコクは、樹木や岩に根を張って育つ着生ランの一種で、5月下旬から6月初旬に白や薄桃色のかれんな花を咲かせ、甘い香りを漂わせます。松島町では、この地域資源を松島の花とし、新たな産業につなげようと、約20年前から国の補助事業を活用し、バイオテクノロジーを利用した繁殖に取り組んできました。中心となってきたのがJA仙台松島支店の松島農業農村活性化協議会セッコク部会の高橋久会長です。
研究機関の協力を得て、瑞巌寺の杉の枝に自生する株から子株を取り、育種苗し、固体数を増やしてきました。3年から5年かけて頒布に十分な大きさに苗を育て、観光施設や学校に植えたり、瑞巌寺や宿泊施設で販売したりとセッコクのPRに努めてきました。その甲斐あって、2003年には念願の町花に制定され、栽培規模も約80坪のハウスに苗がいっぱいになるほどに拡大しました。
こうした努力により、松島の名物として知られるようになった矢先、大震災に見舞われ、火災がもとでハウスが全滅してしまいました。「町花を絶やさない」という高橋さんたち会員は、別の施設に遭って無事だった種芽を使い再び培養に乗り出し、町長に直談判してハウスなどの施設を無償で支援してもらうことになり、3年がたった今年の4月には直売が始められるまでになりました。