蘇る蒲生干潟
七北川河口付近に広がる「蒲生干潟」。海水と淡水が混じる汽水環境があることから、鳥やカニ、貝などの珍しい生物や海浜植物が生息する「生命の宝庫」と呼ばれてきました。この貴重な干潟があの津波で大半が流されてしまい、もはや復元は難しいのではと見られていました。30年以上も前から干潟を観察し続けているという熊谷佳二さんもその一人でした。
震災から16日後に来たときは、生命の気配がまるで感じられない、沈黙の干潟だったという。地形も大きく変わってしまいましたが、その後予想をはるかに上回る速さで回復してきたという。震災から2か月後には、砂浜が発達し汽水環境の維持が確認され、少しずつ動植物の姿が見られるようになったということです。ただ、新たな問題も浮上しています。
急ピッチで進む防潮堤工事が、干潟の生態系に大きな影響を与えることが必至だからです。接地場所などを配慮してもらえば、影響も最小限に抑えることができます。干潟には、浄化作用のほかにも様々な役割があります。生物多様性に配慮した方法で工事を進めるよう行政と話し合っているところだそうです。環境は人間だけのものではありません。人と自然が共生する干潟の再生が望まれます。