正月三が日のごちそう(その2)
亘理、県南、県北の一部では、お正月のとろろ汁には、魔除けや疫病除けの御利益があるといわれ、門や玄関の敷居に切れ目なく塗りつける習わしがあったそうです。三陸地方では、二日の夕方はお年取りの祝い膳に匹敵する膳を用意し、神様にお供えした。昔の正月わらべ歌にお正月が子供たちにとって、どんなに楽しみだったかを偲べるものがあります。
「お正月ええもんだ、雪のようなママ喰って、コッパのようなドド喰って、油のような酒飲んで、お正月ええもんだ」。雪のようなママとは、白米のご飯のことであり、ドドは大きくて厚みのある魚のこと、そして、油のような酒とは清酒のことです。当時はドブロクを飲んでいて、清酒は滅多に飲めなかったのでしょう。とても楽しさが伝わってくる歌です。
今は、毎日がお正月のような生活ですから、すっかり感激する心が失われていますが、一年の計を考える時節であることには変わりありません。形にとらわれることなく、夫々の家にあった儀式やしきたりがあった方が、お正月をより楽しく迎えられるような気がします。お正月のごちそうやわらべ歌には、そんな思いが込められているような気がします。