誇り高きムサシ
わが家のムサシは、お店の看板犬として今でも役目を立派に果たしていますが、最近は顧問のような存在にもなっています。看板犬就任当時は、お客様の心をなごますことを主な仕事としていましたが、あの大震災後、戻りがはかばかしくないお客様に新たなメッセージを送り続けることに心を砕いています。そして、その効果が徐々に出始めてきています。
被災した直後は、復興に向けて一歩踏み出すことだけに心を奪われ、お客様の心情を察するゆとりがなかったというのが正直なところでした。それがここまで回復できたのは、お客様のご支援の賜物ですが、店の伝統を守り続けることの意味を教えてくれたのはムサシでした。彼は、看板犬という役職が結構気に入っていたらしく、それが誇でもありました。
今では、店づくりや商品づくりなどにも積極的に参加して、適切なアドバイスをしてくれています。強い地震が来ると一目散に逃げ出したり、花火の音におびえたりした幼いころとは大違いです。ムサシが言うには、今でも家族の一員としていられることが、何よりも幸せだということですが、私たちこそ、今の関係が永遠に続くことを心から願っています。