ムサシが見つめていた水たまり
先日、石巻市の大川小学校を訪れてみました。石巻市で生まれ育った私ですが、大川小学校がここにあることはよく知りませんでした。硯で有名な雄勝町には仕事で何度か訪れたことがありますが、ちょっと手前の信号を右折して釜谷峠(大川地区と雄勝の間にある峠)に登っていたため、すぐ目の前にあった小学校に気がつかずに過ごしていたのでしょう。
今回訪れてみると、学校は、北上川から近いものの、校庭の裏山は川よりもずっと近いように感じました。子供たちの足では、あの津波から逃れるために登るのはそれほど苦痛ではなかったのではないでしょうか。今となれば結果論に過ぎないのかもしれませんが、ご遺族の方々の無念さはいかばかりかと、察するに余りありある光景が目に入ってきました。
わが家のムサシも、今日ばかりは終始無言で、子供たちの歓声で賑わったグランドの様子を想像しているようでした。校庭の奥に建てられた慰霊碑まで歩く途中、水たまりが目につきました。梅雨時であるため当たり前のことなのでしょうが、ムサシの目にはあの時の怖ろしい爪跡のように映ったようです。三人は静かに手を合わせたのち帰途につきました。