萬蔵稲荷神社
萬蔵稲荷神社は、宮城県白石市小原の馬頭山にありますが、場所としては福島県との県境に近く、参拝する場合は福島県の国見町から登った方が楽かもしれません。創建年代は不明ですが、かつては奥州七ヶ宿街道沿いの地名を冠した「賀良明貴神社」と称していたということですが、創建にまつわる話は諸説あるようで、なかなか面白いものもあります。
この地の熊谷家で生まれた馬方の萬蔵という人が、ある時、旅の老僧にあった。老僧は大変疲れている様子だったので、萬蔵は自分の馬に乗せて家に連れ帰り、心づくしのもてなしをした。次の朝、萬蔵が目を覚ますと老僧の姿が何処にも見当たらなかった。不思議なこともあるものだと思いながら、昨日、老僧と出会った場所を通った時のことだった。
どこからともなく馬のいななく声が聞こえてきました。ふとみると、昨晩の老僧が立っており、「私は稲荷大明神の化身である。そなたの心がけはまことに殊勝である。よってこの馬を授けよう」と萬蔵につげられ、萬蔵は稲荷大明神の化身から、三頭の馬を授かりました。その後、萬蔵はその馬をさっそく売ってお金に替え、稲荷神社を建てたのだという。